出願

ACT

概要

ACTはアメリカ大学受験プロセスにおいてSAT Reasoning Testと同じように扱われている場合も多いですが(SAT Subject Testの代わりにはならない学校がほとんどです)、テスト内容はSATと根本的に違います。SATはReasoning(英語)とMath(数学)に分かれているのに対して、ACTはEnglish(英語)、Mathematics(数学)、Reading(読解)とScience(科学)の4つに分かれています。
また、ACTはやや理系向きだといえます。そもそもScienceという科目があり、Mathに関しても三角関数の応用などを扱うので数学嫌いにはお勧めできません。全体の配点のバランスを見てみても、SATは2分の1が数学であるのに対し、ACTは3分の2がMathematics(数学)とScience(科学)です。英語が得意なオールマイティーな人にはどちらでもよいかもしれませんが、SATのCritical Readingが苦手な人にとってACTにチャレンジしてみる価値は十分にあると思います。

また、このページは2020年1月時点の情報です。内容は学生の調査・経験に基づいた情報ですので、参考にする際には注意してください。

テスト内容

英語、数学、読解、科学はそれぞれ1点〜36点、エッセイは2〜12点で採点されます。エッセイ以外の4科目はマークシート形式で、エッセイは全て手書きで罫線の印刷された紙に書くことになります。試験時間は英語が45分、数学が60分(電卓あり)、読解が35分、科学が35分、エッセイが40分で合計3時間半ほど。長時間の試験になるので、軽食やブドウ糖など栄養が簡単に補給できるものをもっていくと良いでしょう。
英語のセクションはSATの文法問題と似ていますが、ACTの方が一問あたりの解答時間は短いです。読解セクションは、Prose Fiction(文学)、Social Science(社会科学)、Humanities(人文科学)、Natural Science(自然科学)の4つのテーマ別の文章で構成されます。また科学セクションを解くにあたり、科学の知識は必要ありません。その場で提示されるデータや実験の過程、仮説等を正しく解釈できるかという論理的思考力が問われる試験です。

受験方法

ACT公式サイト(https://www.act.org/content/act/en/products-and-services/the-act.html)から申し込みましょう。試験は年に7回実施されますが、2020年4月現在、日本の試験は東京、福岡の二都市でのみ開催されています。席がすぐに埋まるため、数ヶ月前に申し込みを済ませておく必要があります。試験当日は英語で書かれた写真付きの身分証明書(パスポートなど)が必要なので忘れず準備しましょう。

大学出願

大学毎の提出締切に間に合うよう、ACTのウェブサイトを通してスコアを送付します。大学によってはScore Choiceを採用している場合があります。Score Choiceとは、複数回受験したACTの中で各科目における最も良い点数を含む回の結果のみを送付するシステムで、各セクションのベストスコアを大学に提出できます。一方で全てのスコアの提出を要求する大学もあるため、受験する前に各大学のACTに関するポリシーを確認しておくと良いでしょう。
なお、受験申し込みの際に4校までスコアを無料で送付できますが、ベストスコアのみを提出する場合は試験結果が出揃った後に提出するほうが良いでしょう。速達でスコアを届けることも可能ですが、追加料金がかかるので注意しましょう。

試験対策

以下の参考書から練習問題の数や解説の多さなどを比較し、自分のニーズにあったものを選ぶと良いでしょう。
公式のThe Official ACT Prep Guideは必携。

  • The Official ACT Prep Guide (the College Board)
  • Barron’s ACT
  • Cracking the ACT (the Princeton Review)
  • 8 Practice Tests for the ACT (Kaplan Test Prep)
  • ACT Prep Black Book
  • The Critical Reader: The Complete Guide to ACT English(英語のみ)
  • The Critical Reader: The Ultimate Guide to ACT Reading(読解のみ)

ワンポイントアドバイス

ACTの難しいところは制限時間の短さです。問題の量に対して与えられている解答時間がかなり短いので、時間配分とテンポよく解き進めることがカギとなります。採点が減点制ではないため、分からなかった問題へ最後に戻り勘に頼ることが可能です。分からない問題は飛ばしつつ一問にあまり時間をかけないことで時間内に一通り解き終わらせ、余った時間をフル活用してRational Guessをするのが良いと思います。

体験談

私はもともとSATの勉強をしていたのですが、あまりにも高いReasoningの難易度にストレスを感じ、思い切ってACTの勉強に移行しました。ただ私は国内の受験優先、かつ高3で文転した国立文系型だったので、あまりACTの勉強に時間はかけることはできませんでした。使った教材は、Princeton ReviewのCracking the ACTという本とKAPLANのACT Flash Review “ACT in a Box”というフラッシュカードみたいなものです。

▼ Mathematics

数学は難しくても日本でいう数IIBレベルです。私はアメリカの高校生が愛用している関数電卓を持っておらず普通の電卓を使うのも面倒であったので、電卓なしで受験しました。ちなみに数学が得意な場合は電卓なしのほうがはやく解き終わると思います。対策としては過去問を解き、慣れない英語の数学用語を覚えました。日本の高校の数学がわかれば特に心配する必要はありません。

▼ Reading

Readingは私が最も苦手なパートでした。それぞれの文章はそれほど長くないのですが、問題数がその割に多い点と一つの文章にそれほど時間をかけられないという点が非常に難しいです。
取り組み方としては、文章がテーマ別(Prose Fiction(文学)、Social Science(社会科学)、Humanities(人文科学)、Natural Science(自然科学))に並んでいるので、得意なテーマのものから取り組むとよいと思います。私はProse Fictionが大の苦手だったので最後にまわし、得意なHumanitiesの文章から解くようにしました。Inference(推論)系の質問は考えるのに時間がかかるので後にまわすという方法もよいと思います。また文章の読み進め方は、最初に簡単に問題に目を通し、文章は一文一文読むのではなく段落の最初と最後の文章を重点的に読みあとは流し読みする、あるいは文章を簡単に読みながら順番に問題を解いていくなど様々な方法があります。個人的には前者のほうが時間短縮になると感じたのでそちらの方法で取り組んでいました。これらの好みは人それぞれですが、量をこなせばこなすほどスピードもつき、問題に慣れるということは万人に共通するでしょう。

▼ Science

Scienceといっても特に生物の知識も、物理の知識も、化学の知識も、地学の知識も必要ありません。ScienceはReadingの次に時間勝負だった印象が強くあります。実験の説明を読み、実験の過程を読み、結果を読み、それに関する質問を答える、という形ですがすべてじっくり読んで答えるほどの暇はありません。簡単に実験内容を読んだらすぐに問題を見て、問題の答えを探しながら文章を読むのが良いと思います。
対策としては解いて解いて解きまくって慣れてスピードを上げるのが良いと思います。実験の説明の中にごくまれに聞いたことないような化学物質や反応の名前が出てくることがありますが、意味は分からなくても問題は解けるはずなのでそこで躓かないように気を付けてください。

▼ Writing

Writingはオプショナルですが多くの大学は出願の際にWritingのスコアを要求してきますので、是非チャレンジしてみましょう。ACTのWritingの論題はSATと比べてもそこまでひねくれているものではないと思います。ACT Writingの採点方法はTOEFLや他の試験のそれと比べて何を重視しているのか分かりにくいと個人的には思っていますが、まずは何よりも、基本に忠実に文法ミスやスペリングミスなどを決してしないようにすることが大切でしょう。
私は二回このWriting試験を受けたのですが、一回目と二回目でEssayの構造を思いっきり変えたので参考までに書きます。一回目は学校の先生に教わった方法で、一段落目に導入と自分の意見、二段落目に自分の意見とは反対側の意見を述べ反駁、三段落目に自分の意見のサポート、四段落目に自分の意見のサポート二つ目、五段落目にConclusion。二回目は普通の5 Paragraph Essayの形をとり、反対側の意見にはあまり特別には触れませんでした。一回目のやり方はあまり慣れていなかったせいかしっくりこなかったこともあり、二回目のほうがはるかに点数は高かったです。しかし、このWritingもやはり万人に当てはまる正解というものはないので、自分の書きやすい方法で書くのが良いかと思います。
Essayのコツとしては、自分の意見をただ推し進めるのではなく、なぜそれがいかに他と比べてもよいのかなど特徴づけることが大切です。また、最後には必ず3~5分くらい見直しの時間をとっておくことをおすすめします。難しい単語を駆使し、難解な文法構造を組み込むのもよいですが、基本的なところで減点されたり問題に正確に答えていなかったりなどの見落としがないように気を付けてください。