出願

エッセイ

海外大学受験におけるエッセイについて

海外大学受験において、多くの大学がエッセイを出願の提出必須書類としています。
受験のアプリケーションは全体を通して一つの自分のプレゼンテーションであると言え、その中でもエッセイは、一番自分を自分の言葉で表現できる場所です。
大学側に自分がどんなことを考え、どんなことを大切にするのか、実績や推薦状からのみではわからない自分の魅力を最大限に魅せる部分です。理想的にはそのお題に合わせるためのエッセイを書いたというよりも自分の書きたいことがそのお題に当てはまったという感じにできるといいです。

各国によってエッセイの重要度やお題は変わります。以下では代表的な4年制アメリカ大学とイギリス大学の出願用エッセイについて紹介します。
また、このページは2020年1月時点の情報です。内容は学生の調査・経験に基づいた情報ですので、参考にする際には注意してください。

アメリカの4年制大学の出願エッセイ

アメリカ大学受験におけるエッセイとは、Common Applicationを通し全受験者共通で与えられるトピックに答えるCommon App Essayと、各大学が独自に与えているトピックに答えるSupplement Essayの二種類があります。
またこの他に、MITやGeorgetownなど、Common Applicationを使用していない大学は独自にエッセイを課しています。

エッセイを書く上で重要なことはたくさんありますが、よく言われているのは以下の2つです。
1. 自分の何かを大学側に教えるエッセイであること
2. 読んだ人の心を何かしら動かし、行動を起こさせる(思いっきり泣く、笑う、同じ活動をやらせるetc.)/何かを残す

大学のadmission officerは毎年何百通も何千通もアプリケーションエッセイを読みます。読んだ人の中で印象が残らないもの、何も感じなかったものはアプリケーションの大きな弱みとなります。

では何が大事なのでしょうか?
実はCommon Applicationの基本事項には、受賞歴や課外活動の概要を書く場所が他にあります。だから、私はこんな実績があってこういうすばらしい結果を残して云々なんて書いたところで、あまり意味がありません。それよりも大事なのがbackground story ―その実績の裏にどんな努力があったのか、どんなドラマがあったのか― です。そういうところに自分の人間性が表れます。もちろん、実績と全く関係ないことを書いても大丈夫です。
何よりも大事なのは自分という人間がエッセイを読んだ人の中にイメージとしてありありと思い浮かべられるようにすること。自分のした体験を一緒にしたような気分にさせたり、同じ思考をたどってもらったり、つまり、自分を体験してもらうのです。

エッセイというのは一番自分でコントロールできるように見えるものの、文字数も長く、うわべだけの文章が通用しないため、本当に深く書けることも限られてきます。その中でもトピック選びの際は、アプリケーションの他のセクションとバランスはとるようにすることが重要です。例えば推薦状で部活のことについて書いてもらっているなら自分の他の活動や体験をエッセイで書いてみましょう。そうすることで自分をより幅広く見てもらうことができます。でもそれ以上に、自分にとって何が大事なのか、そしてそれはエッセイを読んでもらうことで他の人にも大事と思えるものにできるのか、それが鍵です。

Common Applicationのエッセイ(アメリカの4年制大学)

Common Applicationを利用している大学の出願において、必ず書く必要のあるエッセイがCommon App Essayです。
2020-2021の出願エッセイは以下の7題の中から1つ選んで、250-650wordsで記入します。年によってはお題が変更になることもあるので、エッセイを書き始める前にはCommon Applicationを注意して確認してください。

1. Some students have a background, identity, interest, or talent so meaningful they believe their application would be incomplete without it. If this sounds like you, please share your story.

2. The lessons we take from obstacles we encounter can be fundamental to later success. Recount a time when you faced a challenge, setback, or failure. How did it affect you, and what did you learn from the experience?

3. Reflect on a time when you questioned or challenged a belief or idea. What prompted your thinking? What was the outcome?

4. Describe a problem you’ve solved or a problem you’d like to solve. It can be an intellectual challenge, a research query, an ethical dilemma — anything of personal importance, no matter the scale. Explain its significance to you and what steps you took or could be taken to identify a solution.

5. Discuss an accomplishment, event, or realization that sparked a period of personal growth and a new understanding of yourself or others.

6. Describe a topic, idea, or concept you find so engaging it makes you lose all track of time. Why does it captivate you? What or who do you turn to when you want to learn more?

7. Share an essay on any topic of your choice. It can be one you’ve already written, one that responds to a different prompt, or one of your own design.

2018-2019の出願ではトピック7が24.1%で最も人気があり、トピック5が23.7%と2番目の人気だったそうです。(Common Application公式サイトより)

Common Appエッセイの書き方一例

A. ネタのリストアップ

とりあえずひたすら使えそうなネタをブレインストーミングをしていきましょう。運動会、文化祭、国際大会、家族、名前、日本人、日本文化、本、日常、通学電車、趣味、音楽、何でもいいです、とにかくあげていきましょう。また、自分のunique sales pointやnever forgettable experienceを箇条書きにしたりマインドマップを書いてみたりして探してみましょう。
以外と何でもなさそうなこと(毎日の通学の時間とか空想とか)がいいエッセイにつながったりします。え、こんなことは…と思わず、どんどん書いちゃいます。この段階では自分しか見ないんだから恥ずかしいことなんて何もありません!

B. 実際に書いてみる

最初から難しいことは考えなくても大丈夫です!とりあえずどんな感じになるか書いちゃいましょう、いっぱい書きましょう。削除するのは後でいくらでもできます。
最終的にはエッセイ以外の部分(推薦書や課外活動欄)とあわせて自分が全面的に売り出したい核を2、3個見つけていくことになりますが、それをいきなりやるのは大変。だからまずはとりあえず一つ二つエッセイを書いてみることからはじめましょう。

C. 客観的に読んでみる(読んでもらう) → 何度も書き直す!

一度書いたエッセイをいかに注意して読んでみましょう。

1. そのエッセイを通して自分のどういうところをアドミッションオフィサーに売り込みたいのか。
⇒必ずメッセージは1つのエッセイにつき1つです。一行で自分の何をアドミッションオフィサーに伝えたいのかをシンプルに、明確にすること。

言いたいことはもちろんたくさんあります。でも結局は、一つのメッセージを伝えるだけでも十分大変なんです。欲張らずに一つに絞りましょう。そしてそれを可能な限り強く発信するために肉付けされたエッセイにしていきましょう。

2. そのメッセージを伝えるためのエッセイになっているか。
⇒言いたいことを1文でまとめることができたらエッセイはそのメッセージを猛烈にアピールするための文章になるはずです。全ての段落、全ての文章、全ての単語がそのメッセージを引き出すためにどういった役割を担っているのかを明確に。それが分からない部分は不要な部分です、カットしましょう。

基本的にエッセイは3通りに分類されます。
①着眼点(鋭い、ユニークな目の付け所を示すことで自分を伝える)
②意見(社会や組織に対する意見感想を書くことで自分を伝える)
③行動(ユニークにtake actionした経験を書くことで自分を伝える)
自分のエッセイはどれに分類されますか?そこを強くアピールしていくこと。例えば着眼点エッセイなら他の人に同じことを書かれたらつらいですね。

最初に書いたエッセイをいきなり出せることは少ないです。何度も書き直したり、最終的に最適なトピックを選べるように何個も書いていきましょう。人によっては20回も30回も平気で書き直します。完璧なエッセイなんてありません。もうだめだと思うくらい高みを目指しましょう。

Supplement Essay(アメリカの4年制大学)

Supplement Essayとは、CommonAppエッセイとは別に大学ごとに出題されるエッセイです。
課外活動について150単語程度で答えるものや、500単語までの長いもの、もしくはWhy do you want to come to our university?などは多くの大学が採用している定番トピックと言えるでしょう。一方で、奇抜なトピックを課してくる大学もあります。志望大学のSupplement Essayは早めに確認して準備しておきましょう。

<Supplement EssayのPrompt例>

Harvard Supplement
Briefly elaborate on one of your extracurricular activities or work experiences.(~150 word)

Yale Supplement
Please respond in 150 characters (roughly 25 words) or fewer to each of the questions below:
a. You have been granted a free weekend next month. How will you spend it?
b. What is something about which you have changed your mind in the last three years?
c. What is the best piece of advice you have received while in high school?
d. What do you wish you were better at being or doing?
e. What is a learning experience, in or out of the classroom, that has had a significant impact on you?

Brown Supplement 4
Why Brown? (200 word limit)

University of Chicago Supplement 3 (extracted)
Winston Churchill believed “a joke is a very serious thing.” From Off-Off Campus’s improvisations to the Shady Dealer humor magazine to the renowned Latke-Hamantash debate, we take humor very seriously here at The University of Chicago (and we have since 1959, when our alums helped found the renowned comedy theater The Second City).
Tell us your favorite joke and try to explain the joke without ruining it. -Chelsea Fine, Class of 2016

Supplement Essayの書き方一例

A. Why XX college/university? 型

Why do you want to go to XX college/university? = Why are you a fit for XX college/university? です。
その大学が自分にとって大事な理由ではなく、自分がその大学にとって大事な理由、何を大学にもっていけるかを書くこと。
書き方は「実際に先輩にこんな話を聞いて、ここは自分に向いている!と思った」みたいなものから「理由は二つあります。一つは、一つは」みたいなものまであります。

A. Short Takes型

25字程度の短いものを要求される場合がこのShort Takesにあたります。「好きな本」とか「休日は何をしますか?」みたいなものは、正直にそれに応えるより、どういう答えでAOに何を見せたいのかを明確にすることが大事です。

<例>
Q. What is something about which you have changed your mind in the last three years?
A. During the blackout after the East Japan Earthquake, I realized that candles aren’t just obsolete light sources; they foster true family intimacy. (146/150 characters)

⇒見せられるものは、「日本人しか経験できない東北地震を経験しました」「家族の感じ」「ちょっと繊細な感じ」。

これはapplication全体で日本人らしさがあまり出ていなかったので、全体を補強する意味を込めて最後にshort takesで全体のバランスをとるために書きました。解答単体では普通でも、全体の印象、他のessayとの関係を考えればその人だけのsignificanceがでてくるものがあります。ここはみんなあまりじっくり考えてこないので、差を付けやすいです。

Personal Statement(イギリスの大学学部出願)

Personal StatementはUCASというイギリスの大学の共通願書に必要な自己推薦文のようなものです。
ここでは、「なぜその学問を学びたいのか」をテーマに、スペースを含めないアルファベットの文字数で4000字以内(700~750words)のエッセイを書きます。
イギリスのPersonal Statementに特徴的なのが、1つのエッセイを5校に出願するということです。(※オックスフォード大学・ケンブリッジ大学など、このページの情報に当てはまらない大学もあります)
つまり、A大学が第一志望だとしても、「A大学のXXという特徴が好きで〜」「A大学のXXさんという教授の下で学びたくて〜」など、特定の大学の情報を入れることは原則できません。学問(コースや学術分野)に焦点を当て、自分の強みや志望度合いを表現しましょう。
ファウンデーションコースは、それぞれの大学にエッセイを提出し出願する場合もあるので、エッセイの書き方も各大学の特徴に合わせて書くことができます。詳しくは志望大学のAdmissionのページを確認してください。

Personal Statementの書き方一例

Personal Statementには以下の情報を含めることが好ましいとされています。

  • なぜその学問分野に興味を持ったのか
  • その学問分野に対するenthusiasm(熱意・やる気)
  • その学問分野に関係するこれまでの学び(授業の内容など)やアカデミックな経験
  • その学問分野に関係するアカデミック以外の経験(ボランティアや職務経験)
  • その学問分野への興味を示すことのできる様な趣味やアクティビティ
  • 自分のスキルを示すことのできるトレーニング経験や受賞歴
  • 自分が大学が求める様なスキルや特性の持った素晴らしい受験者であることの強調

Personal Statementでは、アメリカのエッセイの様な複雑な構成や物語の様なエッセイは求められていません。
簡潔に、自分の経験とパッションを学びたい学問分野に関連させて表現することが求められます。

エッセイを書く・見直すときの注意点

エッセイを書くとき・見直すときには以下を特に注意してみてください。

  • 1つのエッセイにつきメッセージは1つ。それを簡潔に読み手に伝えられているか?
  • この段落はエッセイのメッセージを伝えるにあたってこういう意味を持ちます、としっかり言えるか?
  • 自分らしさが相手に伝わるエッセイか、他の人にまねできないエッセイか?
  • エッセイを通してアドミッションオフィサーにパッションが伝わるか?
  • エッセイに真実味があるか?(ストーリーを誇張した結果メッセージは強く伝わるようになっても全体を通して真実みがなくなってしまう場合があります)
  • 他のエッセイと比べて英語のスタイルが異なっていたり、自分らしさが全く出ていないという不自然さに陥っていないか?
  • アドミッションオフィサーに言葉の1つ1つは伝わるか?(海外で浸透していない日本文化や日本でしか使わない言い回しなどは読み手に伝わらない可能性があります。また、日本的な謙虚さは理解されないので、わざと控えめに書く明確な理由がない限りはしつこいくらいがちょうどいいかもしれません。
  • すらすら流れるようなエッセイを書けているか?(アドミッションオフィサーは1つのエッセイを2、3分で読みます)
  • キャッチーに始まって「おっ」って思わせ、後味よく終わらせられているか?

また、以下の様な表現についてもよくチェックしましょう。

  • 形容詞、形容動詞を多用していないか。
    (形容詞や形容動詞は文章が下手に見える要因だと言われています。シソーラスを駆使して名詞、動詞で最適なものをどんどん探していきましょう。一言で I tried very hardと言っても読者からすれば何の感動もありません。しかし、I practiced five hours every day. I had blisters all over my palm like red polka dots and it took me five snoozes on my alarm clock to wake up.といえば読者側も部分的にあなたの体験をでき、効果的だと考えられます。)
  • itやthemなどの指示語はわかりやすいか?(他人に読んでもらい、指摘してもらうと良いでしょう)
  • 同じ単語を使いすぎていないか?
  • メタファーやアナロジーを効果的に使えているか?また、それが混乱の元になっていないか?

先輩からのアドバイス

  • 最初に何を聞かれているのかちゃんと理解しましょう。全く違った答えを書いたらどんなにいいものを書いてもそれは×です。
  • できることなら簡潔にまとめたほうがいいです。アドミッションオフィサーも何通も読む訳ですからだらだらといっぱい書くくらいなら短くさくっとまとめてくれた方が理解もしやすいし頭に残ります。
  • 日本人はこういうものだみたいな決めつけは避けた方がいいです。一概に言えることってあまりないので。
  • 英語でうまく書けなかったら日本語でざーーっと書いてみましょう。書き方も大事ですが、内容の方がずっと大事です。
  • 自分をあまり知らない人、同じバックグラウンドを持たない人(日本をよく知らない人とか)に見てもらいましょう。自分では当たり前だと思っていたことが実はそうでなかったりします。
  • 誤解を招かない表現に気をつけましょう。意図せずに2重の意味は持たせたくないものです。
  • 常に読んでもらう人と時々読んでもらう人を分けるといいです。長く見てもらって何度も直してもらいつつも時々新鮮な意見をもらえます。