イギリスの大学はアメリカのような一般教養課程がなく、入学後すぐに専門課程の授業が始まります。3年間の学士課程を修了し、卒業すると学士号が与えられる仕組みになっています(ただし、The University of Edinburghなどのスコットランドの地域にある大学は四年制で、独自のカリキュラムがあります)。
英国やヨーロッパ圏の高校でA-levelを取得、または国際バカロレア (IB)を取得した学生は高等学校卒業後にそのまま大学の専門課程へ学部入学が可能ですが、大半の日本の学生の場合は大学付属のファウンデーションコース、もしくは私立のファウンデーションカレッジで上記のA-levelもしくはIB取得相当の資格を得てから晴れて「大学入学」となります。
また、このページは2020年1月時点の情報です。内容は学生の調査・経験に基づいた情報ですので、参考にする際には注意してください。
イギリスの大学はほとんどが国公立で、国が設立した高等教育基金機関(HEFC: Higher Education Funding Council)から資金の提供を受けているので、大学ごとの学費にはあまり差がありません。日本人がイギリスの学部に入学する場合は£20,000から£30,000の学費を想定すればよいでしょう。ただ、大学からの奨学金はほとんど見込めないので注意が必要です。
大学教育制度もイギリス内でほとんど統一されているといってよいでしょう。イギリスで取得可能な学位には、Bsc(Bachelor of Science 自然科学分野での学士号)、BA(Bachelor of Arts 人文科学分野での学士号)、BEng(Bachelor of Engineering 工学系の学士号)、Undergraduate Masters degreeなどがあり、専門性が非常に強いカリキュラムです。そのため、高校三年生の時点で既に大学で学びたい内容が具体的に決まっている生徒や、将来自分が就きたい職種が明確な人にとっては学びやすい環境と言えるでしょう。ただし、カリキュラム自体が専門的で細分化されているため、入学後の学部間の移動・変更が難しいという欠点があります。
イギリス北部のスコットランドでは、大学教育システムがやや異なります。イングランド、ウェールズ、北アイルランドでは三年制大学では一年目から学士課程の履修が始まりますが、エジンバラ大学をはじめとするスコットランド地方にある四年制大学では、大学二年目に本格的に専攻を絞っていきます(その点で少しアメリカやカナダと似ています)。最初の一年目では、チューターから進路のアドバイスなどを受けながら複数の科目を履修するので、大学入学前に専攻を決定してしまいたくない人や、自分のカリキュラムに柔軟性がほしいと思う人にはよいでしょう。
ファウンデーションコースからの受験の場合、ファウンデーションコースの成績とエッセイで合否が決まります。ほとんどの大学はUCASという総合出願機関を用いてエッセイや成績の受付、合否発表を行っています。UCASでは最大5校までの出願が可能であり、その合格基準は大学によって様々です。出願に必要なエッセイは出願校全てに提出することになるので、大学ベースというよりは学部ベースのエッセイを作成する必要があります。
大学付属のファンデーションコースに在籍している場合は同じ大学への合格基準が比較的易しくなる傾向にあります。また、オックスフォード大学・ケンブリッジ大学の受験の場合は特に面接が重視されます。他大学との出願プロセスが違うので注意しておきましょう。
◎ 自分で用意するもの
◎学校の先生などに用意してもらうもの
◎ その他
ファウンデーションコースとは、イギリスの大学の専門課程で勉強する前に必要なアカデミックスキルを身につける「大学準備コース」です。前述したとおり、イギリスの大学のカリキュラムは専門的な内容を多く含むので、一般教養や必要最低限の英語力を身につけてからでないと履修できません。そのため、日本の高等学校卒業証明書を持つ大半の生徒は、まずファウンデーションコースに入学し、1年間のカリキュラムを修了しなければなりません(ただし、成績や英語力が高い生徒の場合は大学側がファウンデーションコースの履修を免除してくれることもあります)。