出願

[一般]アメリカの大学出願

まずはじめに

アメリカ大学の学部課程(日本ではあまり馴染みがありませんがアメリカでは学部と院を強く意識し、Undergraduate/Graduate Schoolといいます)は、二年制大学と四年制大学の二種類に大きく分けることができます。学位について見てみると、二年制大学は準学士号/短期大学士号が与えられるのに対し、四年制大学では学士号が与えられます。また、二・四年制大学ともに公立・私立はあるのですが、一般的に公立の二年制大学はコミュニティカレッジ、私立のそれはジュニアカレッジと呼ばれることが多くあります。一方四年制大学には、公立・私立とはまた違った、総合大学(リサーチ大学)・リベラルアーツカレッジ・単科大学という区別があります。

また、このページは2020年1月時点の情報です。内容は学生の調査・経験に基づいた情報ですので、参考にする際には注意してください。

総合大学とは

総合大学は学部課程のみではなく大学院まで付属しているため、規模が大きく研究に主眼を置いています。そのためリサーチ大学とも呼ばれます。

まず、先に述べた公立・私立の違いについて見ていきましょう。公立大学には、州が予算を出し学生数2万人以上にもなる大規模校が多い州立大学があります。日本でよく聞かれるUCLAやUC BerkeleyはUniversity of California, Los AngelesやUniversity of California, Berkeleyの略で、カリフォルニア州の州立大学です。その他ミシガン州のミシガン大学も有名です。州立大学はその州在住の学生に対して州外の学生より安い授業料の設定をしており、さらに入学の優先権も与えています。そのため留学生は州住民よりも授業料が高くなり、入学審査基準も厳しくなる傾向にあります。

一方私立大学は、授業料や寄付金等の資金運用によって運営されています。ハーバード大学やイェール大学などのIvy Leagueもここに含まれます。一般的に州立大学に比べ授業料が高く、小~中規模な大学が多いと言えます。

総合大学の長所として、大学院レベルの研究に対応した実験設備やリソース等が整備されており、規模が大きいために学問・学生・教授の多様性が保たれている、という点が挙げられます。例えば、Ivy Leagueの一つコロンビア大学は最も留学生の割合が高い大学の一つとして知られています。いわゆる世界的な知名度が高い大学はほとんど総合大学ですし、ノーベル賞受賞者などの有名研究者が教授として勤務している大学も総合大学に多くあります。学部生の間から教授の研究に関わった例も大いにあるので、自分から動けばチャンスが広がりやすい環境だと言えます。

短所としてよく挙げられる点は、教授が大学院の授業や自身の研究に重点を置いていることが多いため、学部生にまで目が届きにくいという点です。具体的には、教授が学生からの質問や相談を直接受け付けるオフィスアワーの時間が短いという例があるようです。
また大学の規模が大きいゆえに、基礎クラスの講義では数百人規模の大人数レクチャーになることもあり、これをカバーするためにディスカッション・演習を目的とした少人数のセミナーが週1回程度設けられています。このセミナーは大学院生のTA(Teacher’s Assistant)が中心となり運営されるため、常に教授の授業を直接受けたいと考える人にとっては物足りなく感じる向きもあるでしょう。ただ、年齢の近い先輩に直接質問ができるため、むしろ相談しやすいと感じる学生もいるようです。

同じ「総合大学」と言えども、規模は大学によって様々です。大学ごとに以上の短所を解消するために工夫が凝らされているので、ぜひ各大学について調べてみてください。

リベラルアーツカレッジとは

リベラルアーツカレッジは実用性や専門性よりも幅広い知識を身につけることを重視した大学のことで、人文・社会・自然科学をバランスよく学び豊かな教養と人間性を育成することを目指しています。専攻分野に縛られない学際的な授業選択が可能であるため、より柔軟に自分の興味・関心に合った学びをデザインできます。学生数も総合大学とは違い一学年あたり数百人と非常に小規模で、多くの大学は静かな田舎や郊外にキャンパスを構えています。日本ではあまり馴染みがありませんが、米国では総合大学と同じように評価されており、リベラルアーツカレッジで学部時代を過ごした後に大学院に進学する人も少なくありません。

リベラルアーツカレッジの長所は、教授と生徒の距離が近いことや学生間で密接な関係を築くことができることでしょう。大学院が併設されていないため教授が学部生一人一人に割ける時間が多く、授業もほとんどが少人数形式のもので、他の学生や教授と共に深いディスカッションをすることができます。カフェで生徒と教授が一緒にコーヒーを飲みながら議論を交わしたり、教授の自宅に招かれ晩ご飯をごちそうになったり、という経験をした先輩もたくさんいます。そのような密接な関係がゆえに、大学院へ出願するための推薦状を書いてくれる教授を見つけやすく、大学院進学には有利なことも多いとか。例えば、リベラルアーツカレッジ名門のSwarthmore Collegeは全米の大学の中で社会科学の分野での大学院進学率が最も高い大学として有名です。

一方、短所としては、学べる学問の種類が少ないことや、研究機会の少なさなどが挙げられるでしょう。例えばエンジニアリングの専攻を設置しているリベラルアーツカレッジは少なく、その場合は大学院でより専門的な学びを深める必要があります。また、その小規模さゆえに出会う人の多様性が限られる場合もあり、飽きてしまい他の大学に移る人もいます。リベラルアーツ大学という大学の仕組み自体が日本であまり知られていないため、知名度が低いというのもデメリットの一つかもしれません。

しかし、その教育環境の良さから、リベラルアーツカレッジに熱狂的なファンがいるのも事実です。大学が一つのコミュニティであり、四年間どっぷりと大学の「カルチャー」に浸かることができるので、愛校心が強い卒業生が多いことも特筆すべきでしょう。

出願に必要なもの一覧[総合大学・リベラルアーツ]

※大学によって必要なものは異なるので志望大学のHPのadmissionをよく確認してください※

◎ 自分で用意するもの

  •  Common Applicationもしくは各学校が独自に用意する出願書類を埋める
  •  英語力を証明する書類(TOEFL iBT or IELTS
  •  SAT or ACT
  •  SAT subject (必要な場合のみ)
  •  エッセイ(Common Applicationのエッセイ と 大学独自のSupplementエッセイ)
  •  奨学金申請書類

 

◎学校の先生などに用意してもらうもの

 

◎ その他

コミュニティカレッジとは

コミュニティカレッジとは、アメリカ全土にわたって存在する二年制大学の名称です。これらのコミュニティカレッジは準学士号/短期大学士号が与えられますが、多くの学生はこの学位自体の取得ではなく、四年制大学への編入を目指します。コミュニティカレッジには2+2というシステムがあり、多くの留学生は二年間そこで勉強した後、大学の成績をもとに別の四年制大学に三年生として編入します。実はこの制度、現地のアメリカ人にも人気です。理由はいくつかありますが、主なものを以下に挙げます。

①学費
みなさんもご存知の通り、米国留学には多額のお金がかかります。特に四年制大学は学費が高く、日本の私立大学の二倍近くかかる大学もあります。私立に比べ公立の大学は比較的安価ですが、州民ではない場合、州立のカリフォルニア大学(University of California)でも年間で約350万円もの学費がかかります。
そこで最初の二年間の学費を抑えるため、学費が比較的安いコミュニティカレッジが人気なのです。地域によって差はあるものの、年間の学費が100万円を切る大学も多くあります。

②語学力要件
多くの留学生にとって、金銭面以外に最も心配なのがやはり語学力ではないでしょうか。レベルの高い四年制大学に進学したいのであれば、少なくともTOEFL iBTで120点満点中80点以上を取らなければなりません。ハーバードやスタンフォードのような名門になると100点以上が必要となります。それに対し、多くのコミュニティカレッジは61点以上など、四年制大学に比べて低めのボーダーラインを設定しています。また、もし点数が足りなくても、その大学が開講しているESL(English as second language)というプログラムに参加し、大学指定のレベル以上まで到達すれば、学費は余分にかかりますが確実に入学できます。このように、コミュニティカレッジで2年間語学力を向上させ、アメリカの生活に慣れてから四年制大学に挑戦するのも選択肢の一つです。コミュニティカレッジは、このシステムもあって比較的留学生が多いので、留学生へのサポートも充実しているようです。

③共通テストのスコア要件
四年制大学には、SATやACTといった全国共通テスト(日本におけるセンター試験のようなテスト)のスコア提出を求められる場合があります。これは特に有名大学に顕著ですが、コミュニティカレッジではほぼ全てのカレッジがスコア提出を求めません。そのため、受験時に希望の四年制大学の合格ラインに届くほどのスコアが取れていない場合は、コミュニティカレッジに入学した上でカレッジでの成績を利用して希望大学への編入チャンスに賭けるのも選択肢の一つでしょう。

トランスファー出願について

コミュニティカレッジを卒業し編入する場合、多くの米国四年制大学は11月から3月にアプリケーションを受け付けます。基本的に必要な書類は四年制大学を直接受験する場合と変わりませんが、SATや推薦文の提出を求めない大学もあります。四年制の大学に直接入学するよりも合格率は低いことが多く、留学生の場合さらにその率は下がります。また合格できた場合でも、給付型奨学金やFinancial Aid(学費援助)を出してくれる大学は多くありません。編入後に単位を移行できるかどうか受験前に確定しない場合もありますが、同じ州内の大学同士であれば、ほとんどの場合は移行可能です。コミュニティカレッジから私立の大学に進学した場合、3年生として編入を希望したにも関わらず、2年生として編入せざるを得ない場合があります。志望校に直接確認しておきましょう。

先輩の体験談

カリフォルニア州のDiablo Valley Collegeというコミュニティカレッジから、University of California, Berkeleyに編入した先輩の体験談を紹介します。

Diablo Valley Collegeへの学力面の入学条件はTOEFL iBTの61点以上に相当する英語力を証明することのみ。編入受験時に求められる提出事項は、志願先やコミュニティカレッジで取得した単位などにより異なりますが、私が志願したUC BerkeleyとUCLAは、編入受験の際にはSAT/ACTやTOEFLの点数、推薦書などは求められず、基本的にはコミュニティカレッジでの成績や課外活動とエッセイで合否が決まります。そのため、在学中は成績を保ちながら課外活動に打ち込み、出願時はエッセイに集中していました。

出願に必要なもの一覧[コミュニティカレッジ]

◎ 自分で用意するもの

  •  各学校が独自に用意する出願書類を埋める
  •  英語力を証明する書類(TOEFL iBT/PBT, IELTS, GTEC CBTなど)
  •  パスポートのIDページのスキャン
  •  金銭的サポートの証明書

 

◎学校の先生などに用意してもらうもの