経済学は、生産・消費・売買など、「お金の動き」にまつわるさまざまなことを勉強する学問。
「お金になり得る価値」を生み出すために、人々がどんな活動をしているのかを広く学ぶ。
そのため、地球環境や自然破壊など、一見「お金」や「金額」とは結びつかないようなことも「資源」や「消費の変化」などに関わることになる。
大きな規模で世界を見つめる学問だといえる。
(ベネッセ教育情報サイト https://benesse.jp/juken/201501/20150129-5.html より)
特に事前知識などは必要ないが、中学高校で学ぶ「現代社会」や「政治経済」は大学で学ぶ経済学の基礎になるのでしっかり学んでおくと良い。また、日本では「文系」とされる経済学も、大学で扱う範囲は数学を大いに使用する。
微積分を中心に、高校で扱う数学の範囲はきっちり押さえておこう。(Haruka)
医療経済学とは、(薬なども含む)医療制度やサービスを有効に稼働させるため(つまり人間の健康を作るため)には、どのように資源(ヒト・モノ・カネ)を配分するべきかを考える学問である。また、それを支えるための社会制度やその経済的な効果を検討する学問でもある。
King’s College LondonのHealth Economicsの授業では、すでに経済学の体系を理解していることが前提として進められ、レクチャーでは学問としての古典医療経済理論やその考え方を学び、チュートリアルと呼ばれる少人数授業では、実際のデータを使った各国の制度や効果比較を行うなどして、その理論を検討する。
個人的には各国の医療制度や経済の仕組みと自殺率と比較し、それぞれの国のアプローチ方法を検討したことが特に印象深く、面白かった。
(Logo: King’s College London)
Haruka
MITスローン経営大学院と共同開講している、エネルギー経済・政策入門の授業。ビジネススクール生も同様の授業を受講するためか、授業中に2種類のアクティビティを行うことが特徴。
1つ目のOPEC Gameでは、OPEC加盟国になりきり石油生産量決定のシミュレーションを行う。他国との生産量調整を守るのか守らないのか、守らない場合に石油価格はどのくらい下がってしまうのか……。OPECというカルテルの長所と限界を実感した。
2つ目のElectricity Strategy Gameでは発電会社になりきり、様々な発電所の買取(建設)価格決定、電力スポット市場に対する売電価格決定のシミュレーションを行う。火力発電と水力発電のコストやCO2の排出量の差など、実際の発電会社が検討すべき事象を主体的に学ぶことができた。
(Logo: Massachusetts Institute of Technology)
Ryosuke
環境経済学の入門の授業であり、ハーバードのケネディスクール(公共政策大学院)と共同開講している。
需要と供給の市場バランスを考える上で非常に重要な「外部性(externality)」についてまずは扱う。例えば、ある工場が煙突から有害物質を排出したとする。その有害物質の影響を受けるのは、必ずしも工場で作られた物の生産者・消費者とは限らない。市場の力を生かしてこの有害物質をどのようにコントロールするか、経済と公共政策の双方のアプローチから考察する。
担当教授は過去に米国環境保護庁(EPA)環境経済学の諮問委員会座長を務めたRobert N. Stavins。京都議定書・パリ協定等において米国が取ったスタンスの理由を裏側まで解説する授業は圧巻。
(Logo: Harvard University)
Ryosuke
人はどういう基準で働くか、働かないかを決めるのか、時給と労働時間の関係に重きを置きつつ、労働経済学について満遍なく学ぶクラス。
経済学入門さえ履修していれば履修可能なクラスのため、経済学に興味がある、少し細かい分野を見てみたいという人にはオススメのクラス。課題量・コミットメント的にはあまり大きくないが、自分の興味のある労働市場を選んで分析したり、自分で興味のある分野を突き詰められる。教授は労働経済・教育経済を専門にしている教授で、非常に優しいと評判。
(Logo: Oberlin College)
Ryo
経済学専攻が最初にとる入門授業。
日本の高校の公民社会で少し触れた経済の基本を詳しく見ていく。前半はミクロに、後半はマクロについて学んでいく。教授は日米の経済を研究していたバックグラウンドもあり、よく日本を引き合いに出してディスカッションをした。また、教科書の内容で理論ばかりだが、授業の内容に関連するニュース記事を毎回解説してもらえたので、より実感をもって勉強することができた。
複数の教授が入門を教えるが、筆者のクラスは厳しめの教授が担当し、経済学論者3人の書籍を同時に読み進めてエッセイを書く課題があった。その当時はなんとなくしか理解できなかったが、入門後の経済論の分化を見られたのは面白かった。
(Logo: Swarthmore College)
Kento
通常の経済学においては完全競争を仮定することが多い。だがこの授業においては独占市場や寡占市場を主に扱い、どのような状況下では合併が好ましいのかや不完全競争における価格設定などを学ぶ。
先生がアメリカの規制委員会のアドバイザーを務めていたりしたため、理論がどのように現実世界において使われるのかの例が豊富でわかりやすかった。
(Logo: Columbia University)
Riku
経済開発や発展の仕組みに関する授業。貧困の罠や経済開発と幸福度の関係、効果的な経済援助など、理論と実験を組み合わせて包括的に経済開発について学ぶ。授業内容は面白く、なぜ世銀は失敗してきたのか、なぜアフリカが経済発展の波から取り残されているのか、経済格差は本当に拡大しているのかなど、先生が持論とデータを用いて解説する。
先生のキャラがとても濃いことで有名で、毎回違う色の奇抜なスーツを着てきて、それにスライドの色を合わせていたり、自分の名前の発音の仕方に関して熱弁したりする。スペインでは有名人らしく、自分のラジオ番組を持っているらしい。実際に話はうまい。FCバルセロナの理事を務めていて、メッシが大好き。サッカーを例に説明することが多い。2019年(僕が授業を受けた年)のノーベル経済学賞を受賞した方の自称恩師でとても誇らしげだった。
(Logo: Columbia University)
Riku
行動経済学と神経経済学を扱う授業。脳の働きをベースに人の行動パターンを解き明かしていく。
MRIなどを使った実験データをもとに人の判断メカニズムのモデルを構築し、そのモデルをベースに行動を予測する。興味深い分野だが、経済学の中でもかなり新しい分野であるため、先生が論文を紹介する形で授業が進んでいく。統計学、確率論、微分積分が必要なうえ、プログラミングで人の判断メカニズムを再現し、最適化問題を解くなど、僕が受けた経済学の授業の中で最も難しい授業だった。おかげで学期の初めには60人以上履修していたが、学期の終わりには20人程度の授業になっていた。
(Logo: Columbia University)
Riku
行動経済学の授業。
経済学において人は経済的合理性のある生き物だという仮定がおかれている。しかし人は必ずしも合理的に行動しない。情報量が多すぎる社会においてすべての情報を加味して判断をすることは現実的ではないからだ。では人はどのように行動するのか、人の処理能力が限られているという前提に立った際、どのように行動するのが合理的なのかを行動経済学で扱う。
(Logo: Columbia University)
Riku
経済とアートの関係に関するゼミ形式の授業。アートの需要と供給、オークションやギャラリーの仕組み、投資対象としてのアートなどについて学ぶ。
16人の授業で、毎週生徒が2人1組になってアートに関する経済の論文を噛み砕き、プレゼンする。学期末までに経済とアートに関する論文を書く必要がある。
先生がゲーム理論の著名な経済学者だが、ニューヨークでアートギャラリー運営も行っている。そのコネクションを活かし、画家の方や美術館オーナー、キュレーターの方などをゲストスピーカーとして呼び、話を聞く機会があった。経済学と芸術史のダブルメジャーの生徒が多かったし、元オペラ歌手の生徒などもいて毎週面白いディスカッションが繰り広げられた。
(Logo: Columbia University)
Riku
ほとんどのCMC生が1年生の間、または卒業するまでにとる。マイクロ経済、マクロ経済を両方カバーし、目安としてAP Micro and MacroeconomicsやIBの経済よりも若干応用である。
(Logo: Claremont McKenna College)
Yuma